TOYOは1961年の創業以来、尿素技術の世界的リーダーとして、自社ライセンスを適用した尿素プラントを100基以上設計・建設してきました。お客様にご満足いただき、TOYOの競争力を高め、さらには地球環境問題への貢献のために、省エネルギーに向けて自社ライセンスの改善を常に継続しています。TOYOの省エネルギー型尿素合成技術「ACES21®」及び当社が保有する尿素プロセス関連技術を紹介します。

省エネルギー型尿素合成プロセス「ACES21®」

尿素プラントの改良の歩みはまさに省エネルギーの歴史といっても過言ではありません。1980年代始めにTOYOは、尿素プラントでのエネルギー消費を大幅に削減するACES(Advanced Process for Cost and Energy Saving)尿素プロセスを確立しました。その後も、更なるエネルギー消費の削減を目指し、1990年代にはACESの発展型である尿素合成技術、ACES21®をインドネシアのプスリ社と共同で開発しました。

特徴

ACES21は、尿素合成系を簡素化することでプラント建設費を低減したばかりではなく、運転条件をより最適化しオペレーションコスト削減を実現しており、以下の優位性を持っています。

  • 1. 省コスト(コンパクト)

    建設費の削減

    • 高圧エジェクターによる強制送液採用による合成管の地上設置
    • 縦型のサブマージカーバメートコンデンサー(VSCC)
    • 合成ループの簡素化

    機器費の削減

    • 2段合成による機器サイズ削減
    • 合成ループ内の機器数の削減
  • 2. 省エネルギー(運転費用の削減)

    最適な運転条件採用による高い合成率の実現

  • 3. 運転しやすさと安定性

    高圧エジェクターによる高圧ループ内の強制循環

  • 4. 保全費の削減

    低い合成系温度と信頼性の高い材料を採用することにより、腐食による問題発生を回避

ACES21合成ループ
4,000 t/d ACES21®尿素プラント
インドラマ・エレメ肥料会社(ナイジェリア)

Vertical Submerged Carbamate Condenser (VSCC)

ACES21®の合成ループにある縦型のVSCC(Vertical Submerged Carbamate Condenser)には、StripperからのNH3、CO2のガスを凝縮させ、その凝縮熱で低圧蒸気を発生させる機能と尿素合成する反応器としての機能があり、以下の優位性があります。

  • 縦型のため、ガスホールドアップが適切で、十分な液深が確保され、凝縮、熱移動がしやすい
  • 多孔を有する邪魔板を設置することで、気液接触が促進される
  • 縦型のため設置に必要な面積が小さい
Vertical Submerged Carbamate Condenser

最適な合成プロセスの選定

ACES21®は、VSCCとリアクターの2段で尿素合成を行います。VSCCは、凝縮と反応の二つの機能を同時に行うため、凝縮に最適なNH3とCO2の組成(N/C=3)を選定し、リアクターでは、さらに合成を進行させるために、VSCCよりも高いNHN3とCO2(N/C=3.7)を選定し、最適化しています。最適な組成を選定することで、高い合成率と低い合成圧力を同時に実現しました。

能増プラントに最適なプロセス

ACES21®は、古い溶液循環法の尿素プロセスへの能増に対しても最適な性能を発揮します。既存設備を最大限に利用しながら50%の増産と30%のエネルギー削減を実現できる優位性があるため、既存設備の更新を考えられているプラントオーナーに最適なスキームを提供することができます。

ACES21®による改造図

尿素用耐食材料「DP28W™」

尿素プロセスは、腐食の厳しい流体を取り扱うプロセスの一つとして知られています。TOYOは、1980年代初頭から世界に先駆けて二相ステンレス鋼を尿素プラントの合成系高圧機器へ採用したパイオニアです。2004年に住友金属工業(現在の日本製鉄株式会社)と共同で、以下の特徴を持つスーパー二相ステンレス鋼DP28W™を開発し、尿素プラントへ適用しております。

  1. 高い耐食性能
    信頼性、保全性の改善/保全費用の削減/機器、プラントの耐用年数の向上
  2. 高い不働態化性能
    防食空気量の削減/安全性、運転性の改善
  3. 高い機械特性(高強度)
    高圧機器の耐圧構造部の薄肉、軽量化/チューブ薄肉化による伝熱性能の向上

尿素運転支援技術

TOYOは、尿素技術のライセンサーとして、尿素製造に関連する様々な技術を開発し、提供しているだけでなく、Industrial IoTの技術やビッグデータのAI解析技術などを用いて顧客の収益向上に貢献するDX-PLANT®の尿素プラントへの適用も開始しています。また尿素プラントの運転トレーニングを目的に、トレーニングシミュレータを開発し、提供しています。シミュレーションモデルは、実際に設計に使用しているプロセスシミュレータと物性をベースに動的挙動を付加し、独自に作成されているため、高い精度で実際のプラントを再現しています。プラントの立ち上げ、通常運転、通常停止、緊急停止の運転をプラントの完成前に体験でき、運転員の技量アップに貢献します。

最新情報 ACES21-LP®

TOYOは、このたび革新的次世代尿素プロセス「ACES21-LP®」を発表しました。ACES21-LP®は、従来のACES21®の特徴を維持しながら、競合プロセスを含め最も低い合成圧力と最も高いCO2転化率を同時に実現する先進的プロセスです。 ACES21-LP®は、ACES21®の優れたプロセスコンセプトと最先端の低圧合成技術を組み合わせることで現ACES21®からさらなる原料昇圧動力削減・プロセス効率向上によるエネルギ消費減と、合成機器軽量化によるプラントコスト削減を実現し、低コスト尿素製造と地球環境保全に貢献する技術です。

尿素プロセスの合成圧低減の歴史

尿素プロセス関連カタログ

※ACES21®は東洋エンジニアリング株式会社の日本における登録商標です。
※DP28WTMは東洋エンジニアリング株式会社と日本製鉄株式会社の商標です。
※DX-PLANT®は東洋エンジニアリング株式会社の日本における登録商標です。
※当社は尿素を自社製造しておりません。尿素そのものの商談やサンプル提供のご要望には応じられません。

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