タイ国内7か所の発電所建設プロジェクトを同時遂行。世界的にも異例の挑戦。 タイ国内7か所の発電所建設プロジェクトを同時遂行。世界的にも異例の挑戦。

PROJECT05 TSPP-PROJECT
タイ国旗

クライアント:Gulf JP Co.,Ltd.(電源開発)
設備名:熱電併給ガスタービンコンバインドサイクル発電所7ヶ所
設備能力:110MW×6、120KW×1
建設サイト:タイ・バンコク

信頼を得るには、とにかく顔を合わせて納得いくまで話し合うこと

 初のFM(注7)FMFMField Managerの略称。工事現場における最高責任者。業務の難しさに直面しながらも著しい成長を遂げた下田。「FMという会社を代表する立場で赴任しているので、スケジュールや品質を守ることはもちろんのこと、TOYOとしても個人としても客先からの信頼を得て、今後につなげられる自立したプロフェッショナルを目指している」と意気込みを語る。特に注力しているのが安全に対する取り組み。下田が赴任した当初、現地サブコンスタッフの安全に対する意識があまりに低いことに下田は愕然としたという。サブコンスタッフに何度も安全の重要性を説明するも、なかなか浸透していかない。そのため、毎週土曜日に一斉清掃の時間を設け全スタッフと共に現場の整理整頓を行ったり、自ら入口に立って作業員一人一人の個人防護具(ヘルメットや安全メガネ)の着用状況を確認したりした。ただ口先だけの指示でなく自ら積極的に動き模範を示すことで、少しずつだが意識の変化が生まれてきているという。
 FMとしてはかなり若い下田は、プロジェクトに関わり始めた当初「彼一人では不安だ」という意見が客先からあがった。そのため、最初の1ヶ月間は土建エンジニアを応援で加えた2人体制で仕事を進めていた。その間客先の不安を払拭すべく、下田は徹底して多くの人と話すことに努めた。自分が伝えたいことだけではなく、まずは相手が何を知りたがっているのか。先の先まで読み、応えていく。メールではなく、可能な限り顔を合わせてじっくり話し合う。そんな地道な活動によって、1ヶ月で早くも信頼を得ることに成功した。「精神的にきついこともあったが、現場では自分がトップなんだ、自分がやらないで誰がやるという責任感が気持ちの上で大きな支えだった」という。
 もう一つ、下田を支えたのが同行している妻と子どもの存在だった。「慣れない異国の地で子育てに奮闘する妻には本当に感謝している。異国で一緒に暮らすことで、家族の絆をさらに深めることができたように思う」と話す下田。現地には日本人をはじめとする帯同家族によるコミュニティなどもあり、仕事を超えたつながりも海外で仕事をする面白さの一つと言えるだろう。
 海外案件が多いTOYOでは、海外への家族帯同に対する環境や制度も整っており、プロジェクトメンバーは家族の支えのもと、現地でプロジェクト運営に奮闘している。

下田 秀彦
フィールドマネージャー(FM)

工事本部
工学部 物質化学科卒
2004年入社

本プロジェクトにおける担当者の役職・所属はプロジェクト実行当時のものになります。

【注7】FM
Field Managerの略称。工事現場における最高責任者。

人々の生活に欠かせない設備として、今後の動きが注目される発電所建設

 近年、タイの経済成長は著しく、同様のSPPプログラムは今後も継続して実施される予定だ。タイに限らずこういった案件は多数あり、本プロジェクトの成功をおさめることは、今後のTOYOの発電分野への取り組みが拡大するうえで大きな意味を持っていく。
 「発電所建設で常に念頭に置いているのは、『運転後は絶対に止められない』ということ」と岡崎。電気はストックできないものであり、発電所が止まれば人々の生活に大きな影響を及ぼしてしまうからだ。それだけ人々の生活に欠かせないものであり、今後も経済成長や人口増加に伴ってますます需要は高まってくる。それに応えるという意味でも、TOYOが新たな柱として発電分野に注力していくのは、大きな意義があるといえるだろう。