タイ国内7か所の発電所建設プロジェクトを同時遂行。世界的にも異例の挑戦。 タイ国内7か所の発電所建設プロジェクトを同時遂行。世界的にも異例の挑戦。

PROJECT05 TSPP-PROJECT
タイ国旗

クライアント:Gulf JP Co.,Ltd.(電源開発)
設備名:熱電併給ガスタービンコンバインドサイクル発電所7ヶ所
設備能力:110MW×6、120KW×1
建設サイト:タイ・バンコク

7つの現場をコントロールする難しさに加え、洪水によるスケジュールの遅れと調整に奔走

 そんな岡崎の期待を受けて、発電所建設の知見を深めている一人が秋本。本案件にはプロポーザルの段階から関わり、ジョブ(注4)ジョブジョブ競争入札などを経て受注したプロジェクトにおける、実際の遂行段階を指す。設計・調達・工事などのフェーズが含まれる。にも参画。高度なプロジェクトマネジメント力が求められる今回のプロジェクトに一気通貫で関われることは大きな意味を持っていた。スケジュールコントロールを担う秋本は、リソースの適切な配分、作業の効率化、コストの削減など様々な要素を検討しながらの工事のスケジューリングに頭を悩ませることになった。7ヶ所のプラントを受注したはいいが、同時に7ヶ所の工事を始めることはできない。1基目、2基目と順番に工事をスタートさせ、1基目で学んだことは2基目に活かしながら進めたい。そうすることで2基目、3基目は効率よくプロジェクトを遂行することができる。また、7つの全プラント建設に共通する部分も多いはずであり、そういった重なりを見出すことでもプロジェクト遂行の効率化をはかることが出来る。こういった発想そのものは過去の経験から自然と浮かび上がる。しかし、実際に計画を立てる際には一体どこまでを共通項として見出せば良いのか、違いがあるとすればどこまで区別すればいいか、という点が読みづらかったため「気持ちのうえではっきりしない、どこかモヤモヤした感覚があった」と振り返る。
 実際の業務においては机上で考えるよりも作業のボリュームの多さやスケジュールキープの困難さを実感。加えて、2011年の大洪水(注5)大洪水大洪水2011年7月に発生。タイ国のチャオプラヤー川、メコン川の周辺で台風を原因として発生した大洪水を指す。これによって230万人以上が影響を受けた。洪水による経済損失額としては史上最大であると試算されている。によって1つの建設現場が冠水。また、資材の調達先である現地業者も洪水の影響を受けたため工事が2ヶ月間完全にストップしてしまった。水が引いた後は、タイ政府主導で洪水の復興事業を行った。そのため、TOYOが用意していた資材や人手が復興事業にまわってしまい更なる遅れを心配する事態となった。
 一方で「最初に工事がスタートした発電所が2013年1月に商業運転開始となり、これから次々に各発電所が運転を始める。最後まで気を抜くことなく進めることで、タイの電力安定供給に貢献したい」と話しており、自身の仕事が社会に与える影響の大きさが大きなモチベーションとなっている様子だ。

秋本 幸裕
プロジェクトコントロールマネージャー(PCM)

プロジェクト第三本部
理工学部 航空宇宙工学科卒
1995年入社

本プロジェクトにおける担当者の役職・所属はプロジェクト実行当時のものになります。

【注4】ジョブ
競争入札などを経て受注したプロジェクトにおける、実際の遂行段階を指す。設計・調達・工事などのフェーズが含まれる。

【注5】大洪水
2011年7月に発生。タイ国のチャオプラヤー川、メコン川の周辺で台風を原因として発生した大洪水を指す。これによって230万人以上が影響を受けた。洪水による経済損失額としては史上最大であると試算されている。

プロポーザルとは異なるジョブでのスピード感

 プラント建設に必要な資材を購入し、タイムリーに現場に届けるのが調達部門の仕事だ。本案件では入社2年目の河田が担当。「実際のプロジェクトは本当に時間勝負だということ。特に本案件はスケジュールが厳しく、絶対に工期を遅らせられないという強い意識を持って仕事に取り組んでいる」。
 調達のミッションは早く、安く、タイムリーに資材を揃えること。“発注をして、ものが届く”ごく当たり前の過程のようにも思えるが、工事現場ではそうではない。資材が届かなければ工事は進まない。すべて先に発注してしまうとプロジェクト内のキャッシュ・フローのバランスが崩れてしまい、また資材を置く場所もない。工事の進行状況を見極め、納期を設定する。タイミングを間違えれば、平気で1週間工事が遅れる。それを7ヶ所分同時に調整していくことはまさに至難の業。関係する多数のエンジニア及びサイト側と相談しながらベンダーの状況や技術力も加味しつつ、納期を管理するのが難しいという。
 また発注後も、場合によってはベンダーの納期遅れ及び輸送遅延と戦わなくてはならない。全てがスケジュールどおりうまくいくことは非常に稀であり、常にモニタリングし、製作作業を督促するのも調達の仕事である。時には「明日〇〇を現場に届けて欲しい」という依頼が急遽飛び込むこともあり、プロポーザルとは明らかに異なるスピード感を痛感する日々だという。
 スピードが求められる一方で、必要な資材を確実に届けた際は、現場から「よく間に合わせてくれた」と喜ばれることもあり、それがモチベーションにつながると河田。まず、現場との信頼関係を築くことが重要なポイント。そのために「ホウ・レン・ソウ」も徹底したという。「昨年の新人研修で教わった時にはこれほど重要だとは思わなかった。タスクが複雑かつ多様であればあるほど情報をしっかり共有しておくことが大切かということを学んだ。調達の仕事を極めて、プロジェクトに欠かせない人財として成長したい」と話している。

河田 康平
調達担当

調達本部 購買部
高専 機械工学科卒
2011年入社

本プロジェクトにおける担当者の役職・所属はプロジェクト実行当時のものになります。