支払い遅延、大規模な労働争議などを乗り越えた初のベネズエラ大型肥料案件 支払い遅延、大規模な労働争議などを乗り越えた初のベネズエラ大型肥料案件

PROJECT02 PMF-PROJECT
ベネズエラ国旗

クライアント:ベネズエラ石油化学公社
設備名:尿素製造設備
設備能力:アンモニア・1,800t/d、尿素・2,200t/d
建設サイト:ベネズエラ・モロン

プロジェクトは若手エンジニアを教育する場でもある

 本プロジェクトにおいて、電気・通信設備の責任者を務めたのが石木。設計外注先が韓国、台湾、およびベネズエラの会社と契約の仕切りが多岐にわたり、かつ機器資材発注先が15社もあるため複雑さを極めていた。またプロポーザル時点ではTOYOのスコープ(注3)スコープスコープコンソーシアムやジョイントベンチャーを構成する各社間の業務所掌を指す。外であった周辺機器の電気設備もスコープに含まれたことによる大幅な変更もあった。「コンソーシアムに加え周辺機器を担当する会社の調整までする必要が出てきたのは想定外。電気というのは、プラント試運転の一番初めに必要な設備なので、工事の遅れの発端にもなる可能性が高く、プレッシャーがありましたね」と石木。また、初めてとなるベネズエラでの仕事であり、現地慣習の違いやスペイン語も意思疎通を図るうえで大きな壁となった。
 そんな状況下において石木が常に心がけていたのは契約書をベースにしながらもそれに縛られることなく、相手とオープンに議論しながら要望をくみ取ること。そのためにはメールのみのやり取りではなく、できるだけFace to Faceで話し合うようにしたという。
 加えて経験の浅い社員の教育にも注力。自身が常に前線に立つのではなく、任せられると判断した部分については極力任せることで、若手が一つでも多くの経験を踏めるように配慮していた。
 「我々エンジニアリング会社にとって、プロジェクトをコントロールするマネジメント力や交渉力こそが会社の根幹。それは経験によって養われるものであり、どのプロジェクトに関わる時も、常に若手の育成については重視するようにしている」と石木は言う。

石木 健司
電気・通信エンジニア

電計エンジニアリング部
理工学部 電気工学科卒
1991年入社

本プロジェクトにおける担当者の役職・所属はプロジェクト実行当時のものになります。

【注3】スコープ
コンソーシアムやジョイントベンチャーを構成する各社間の業務所掌を指す。

早くも次のプロジェクトが始動 ベネズエラでのビジネス拡大のきっかけに

 本プロジェクトは2013年には完工予定。ベネズエラでの実績ができたことで、今後同国での仕事が増えて行くはずだ。実際に石油精製プラントのプロジェクトも新たに受注しており、他の案件についても引き合いがいくつも来ている。TOYOは、信頼できるサブコン、ベンダーとの関係を深めていくことで、自国の技術発展という側面での顧客ニーズにも応えていく。そうすることでTOYOの同国でのビジネスは大きな発展を見せるだろう。