1972年の日中国交回復依頼、140件を超える中国でのプラント建設実績。外資系No.1を名実共に備えるTOYOのプレゼンスをさらに高める結果となった。 1972年の日中国交回復依頼、140件を超える中国でのプラント建設実績。外資系No.1を名実共に備えるTOYOのプレゼンスをさらに高める結果となった。

PROJECT03 AIC-PROJECT
中国国旗

クライアント:三菱瓦斯化学株式会社
設備名:ポリカーボネート樹脂製造設備
設備能力:80,000t/y
建設サイト:中国・上海

設計者として「正しく伝える」ことの重要性を学ぶ機会に

 同プロジェクトは、特に若手が活躍した案件でもある。計装設計を担当した高橋もその一人。当時入社1年目の高橋は、設計院や現場を飛びまわり、設計と現場の間を取り持つ役目を担っていた。
 「実際の現場を見ることで、工事担当者らが図面のどこに疑問を抱くのか、どういった点でつまずくのかが分かり、『正しく伝えること』の大切さを学んだ。設計についてもまだまだ未熟なこのタイミングで、設計図がどういう流れで実際の形になっていくのかを目の当たりにできたのはラッキーだったと思う」と言う高橋。以来、例えばメールなどを送る際も言葉だけでなく、できるだけ図面やイメージ図などを加えて分かりやすく伝えることを心掛けているという。
 一方で、異文化圏で仕事をする難しさにも直面した。日本では現場の整理整頓は事故を起こさないための安全の初歩と考えられている。しかし、中国ではそういった安全に対する認識が低く現場でも配管の切れ端や鉄くずなどがいつまでも掃除されずに残っていたり、重要部品がぞんざいに扱われたりすることが日常茶飯事だった。安全に最大限の配慮をしてプラントを建設していくのはエンジニアリング会社の重要な役目。「現場の整理整頓がなぜ必要なのか? 理由立てて、説明することで、相手の状況を考えられるようになった」と言う。
 どんな時も積極的に現地の人たちの輪に加わるように心がけていたことで、地元エンジニアたちとの強いきずなも生まれた。「プロジェクトを終えて帰国する際、『一緒に仕事ができて良かった』と言われたことが嬉しかった。再び中国での案件に携わった時に再会する日を楽しみにしている」と笑顔で話しており、グローバル企業の社員として、海外で働く喜びを早くも見出したようだ。

高橋 晃一朗
計装エンジニア

エンジニアリングソリューションセンター
設備システム設計部
大学院総合理工学研究科 環境理工学創造専攻
2009年入社

本プロジェクトにおける担当者の役職・所属はプロジェクト実行当時のものになります。

尊敬すべきPMのもとで大いに学び、急成長。キャリアイメージが明確に

 中国出身者として同プロジェクトに大きく貢献したのが孫。プロポーザル段階から波山とともに現地入りし、通訳としての役目も果たしつつ、調達関連の交渉と中国政府への申請関係などを手掛けた。
 中国では規範にあいまいな部分が多く、人によって受け取り方が異なるため申請作業は困難を極める。また、中国は急激な発展を遂げており、制度、法律が現在進行形で変わっていく中での対応力も求められた。同プロジェクトでは全体をとおして30ほどの申請があったのだが、1つの申請を消防局、安全局、環境局などさまざまな役所に提出する必要がある。それを一人で手掛けたのだ。申請が通らなければプロジェクトは前に進まない。初めてプロジェクトに関わる人間にとっては非常に大きな責任を負うことになる。しかし、孫はむしろ「大きな仕事を任せてもらえた、という嬉しさの方が大きく、やりがいを持って取り組むことができた」と振り返る。
 一方、調達の交渉などでは常に波山と行動を共にし、多くのことを学んだようだ。
 「あらゆる分野について造詣が深く、感銘を受けた。将来、波山さんのようなPMになるために、どれだけ大きな視野と幅広い知識が必要かを痛感したことが最大のモチベーションになっている」と話しており、女性初のPMが誕生する日もそう遠くなさそうだ。

孫 茜
プロジェクトエンジニア

プロジェクト第一本部
海外進出プロジェクトグループ
大学院理工学研究科 環境工学専攻
2008年入社

本プロジェクトにおける担当者の役職・所属はプロジェクト実行当時のものになります。

 

 工場や自社製品を持たないエンジニアリング会社にとって、ベテランから次代を担う若手へと引き継がれていく技術や知見こそがなによりの財産。この伝承こそがTOYOの強みである。今後も中国はもちろん海外におけるTOYOのプレゼンスは着実に高まっていくだろう。