SIL解析

概要

機能安全に関する国際規格IEC 61508 / IEC 61511注)に準拠する安全計装システム(SIS:Safety Instrumented System)の設計が広く採用されています。これは、潜在リスクに基づきSISの重要度のグレード分け(SIL決定)を行うことで、設備や保全にかける費用を必要な箇所に有効的に割り当てる判断基準が与えられるためです。
SIL(Safety Integrity Level)解析は、安全・環境・資産に関わるプロセスリスクの大きさに基づいてSISに要求される安全健全性レベル(SIL)を決定すると共に、ライフサイクルを通してSILを維持するために必要な設備構成と機能試験頻度を合理的に決定することにより、プラントの安全性を向上させることを目的に実施します。また、SIL解析の結果に基づいて定期的に機能試験を実施することにより、計画的な予防保全対応が可能となります。

注)EC 61508 に基づきJIS C0508 が発行されています。また、IEC 61511(Part 1-3)のうちPart 1に基づき2008 年2月にJIS C0511-1が発行されています。

SIL解析実施例

潜在ハザード解析

  • HAZOPスタディー等のプロセスハザード解析を実施し、プロセスリスク解析のベースとなるハザードシナリオを同定します。

プロセスリスク解析(SILの決定)

  • プロセスハザード解析により同定されたハザードシナリオに対して、ハザードの厳しさ(C)、発生頻度(W)、回避の可能性(P)などの要素を考慮したリスク評価基準を適用して、各SISに要求されるSILを決定します。
  • SILは、作動要求時の平均作動失敗確率であるAverage Probability Failure on Demand (PFDavg)により次のように規定されています。

Average Probability of Failure on Demand

Safety Integrity Level (SIL)Average Probability of Failure on Demand (PFDavg)
SIL 410-4 > PFDavg ≧ 10-5
SIL 310-3 > PFDavg ≧ 10-4
SIL 210-2 > PFDavg ≧ 10-3
SIL 110-1 > PFDavg ≧ 10-2

図1 リスク評価基準の例 : リスクグラフ

図1 リスク評価基準の例 : リスクグラフ

SILの検証

  • 計画されているSISが、IEC 61508 / IEC 61511で各SILに対して規定するシステム構成の要求事項とPFDの要求を満足することを検証します。 PFDSIS全体=PFDセンサー+PFDロジック+PFD駆動端
  • フォールトツリー手法などを用いた信頼性解析によりSILを達成するためのSISの構成と構成要素の機能試験頻度を決定します。
  • 信頼性解析に用いるSIS構成要素の故障率データは、ベンダーあるいは一般に公開されているデータソースから得ます。
図2 フォールトツリー適用の例

図2 フォールトツリー適用の例

図3 SILによる典型的なシステム構成の例

図3 SILによる典型的なシステム構成の例